1.理美容業の経営環境

少子高齢化と理美容業

1.総人口の推移

2.若年・生産・老年3区分による将来人口推移

3.人口の減少と構造変化が理美容業に及ぼす影響と対策

⑴顧客の変化
流行のヘアスタイルやファッションは極めて短いサイクルで変化する。
→技術的にも気合面でも新たな努力が求められる。

⑵社会の変化
a.少子高齢化や人口の変化
→望むことも変わってくる。顧客が減少することで経営は一層厳しくなる

b.国際化
→外国人の顧客が増えたり、店の経営者が外国人という事も増えてくる。

c.格差の拡大
→求められるサービスの違いが拡大し、多様なサービスが求められる。

⑶社会制度の変化
経営にかかわる法律や制度が変更になると、企業はそれに対応しなければならない。
→複雑な対応が求められる

理美容業の動向

理美容所及び従業員の動向と課題

2.資金管理

経理

1.収支と損益

①収支とは
経営をして入ってきたお金を収入といい、出て行ったお金を支出といい、その両方の「お金の動き」を収支という。

②損益とは
儲かった(得した)、損したとは、損益(利益と損失)のことを指す。損益とは、一定の期間(月、年等)の売上と経費の差から計算される会計上の概念である。

2.貸借対照表とその意義

貸借対照表は、ある特定のタイミング(決算日)の企業の資産・負債・純資産の金額と内訳を示す表のことです。
企業の資金調達方法や財政状況がわかります。

3.損益計算書とその意義

損益計算書は、ある一定期間(決算期)の企業の利益と支出を示す表のことです。
該当の期の利益の生み出し方や額がわかります。

税金

1.個人経営・法人経営別税金の種類と納付時期

税金を支払うことは憲法第30条で定められた国民の義務である。
美容店は個人経営でも会社経営でも税金を支払う。

⑴利益が出ているときに支払う税金

〇個人
収入-経費=「個人の所得」(利益)→個人所得税
その他:住民税等
〇会社
売上-経費=「法人所得」→法人課税
その他:事業税、地方税(県民税等)

⑵いったん預かる税金

源泉所得税
雇用主は従業員の給与から源泉所得税を預かり、原則翌月10日までに税務署に支払う。

消費税
売上時に入金する消費税も顧客から預かっている税金であるので、経営者は経費支払い時に支払った消費税との差額を後日税務署に支払う。
書日税は、2年前の1年間の売上高により特例がある。

⑶持っているだけで課される税金
土地建物には毎年固定資産税が課される。
内装工事、美容店の器具部品などには原則償却資産税が課される。これらの税金は所得者に課される税金で、経営がうまくいかなく赤字の場合でも、支払わなくてはいけない税金である。

<主な税金と支払い時期>

税金の種類個人経営者法人経営者
所得税/法人税
(中間.予定納税)
3月15日まで
(第1期7月31日)
(第2期11月30日)
決算日後2か月以内
(事業年度開始後6月を経過した日から2月以内)
住民税
(中間.予定納税)
年4回払い
(6月、8月、10月、翌年の1月)
(無)
決算日後2か月以内
(事業年度開始後6月を経過した日から2月以内)
事業税
(中間.予定納税)
年2回払い
(8月、11月)
(無)
決算日後2か月以内
(事業年度開始後6月を経過した日から2月以内)
源泉所得税(中間.予定納税)(中間.予定納税)
消費税
(中間納税)
翌年3月31日まで
(前期税額により1~11回)
決算日後2か月以内
(同左)
固定資産税
(分納可)
1月1日の土地、家屋の所有者に課税 年4回の分納可同左
償却資産税
(分納可)
毎年1月31日までに市町村に申告
年4回の分納可
同左
税に関する罰則

申告納税しなければならない者が申告や納税義務を怠った場合には、罰則とし追加の税が課されることになっている。

滞納税

申告納期限までに納付しなかった場合に原則として納期期限の翌日から納付する日までの日数に応じて利息に相当する延滞税が課される。
高いものは7%以上の利率。

過少申告加算税

加算税申告期限内に提出された申告書に記載された金額が過少であった場合に、課される税金のこと。増加する本税の5~15%の追加課税。

不納付加算税

源泉所得税で納付期限までに支払わなかった場合に、課される税金5~10%。

無申告加算税

申告期限内に申告しなかった場合に課される税金のこと。増加する本税の5~30%の追加課税。

重加算税

隠蔽や仮想があった場合に過少申告加算税、不納不加算税、無申告加算税に代えて課される税金。増加する本税の35~50%の追加課税。

青色申告制度

青色申告制度は税務署長の承認を受け所定の帳簿書類を備え付ける納税者が青色の申告書で申告を行う制度である。そして、青色申告者には損失の繰越し等50を超える特典が与えられる。このように、青色申告制度は記帳の義務を課す一方で特典を付与する記帳制度であるが、適用を「承認制」とする点が特徴的である。
※国税庁ホームページより抜粋

3.年金保健

公的年金

私たちの国では、老後の暮らしを始め、事故などで障害を負ったときや、一家の働き人亡くなったときに、みんなで暮らしを支え合うと言う考え方をもとに作られた公的年金制度がある

1.国民年金

⑴制度
1961年(昭和36)年4月に施行された旧制度の国民年金は、会社員や公務員などを対象とする年金制度に加入していない自営業者などを対象としていたが、1986 (昭和61)年4月に施行された新制度では、国民年金は公的年金の土台となる制度と位置づけられ、すべての国民に基礎年金を支給する制度となった。
これにより、厚生年金保険や共済年金(2015 (平成27)年10月に厚生年金に統一)加入者は、合わせて国民年金にも加入し、同時に2つの年金制度の適用受けることになった。

⑵被保険者
被保険者は、強制加入被保険者と任意加入被保険者に分けられ、強制加入被保険者には、第一号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類がある。

a.第一号被保険者
日本国内居住の20歳以上、60歳未満の者で、第2号被保険者、第3号被保険者のいずれにも該当しない者。事業者、農業者とその家族、学生、無職の人などが該当する。

b.第2号被保険者
厚生年金保険の適用事業所に勤務する者。会社員、公務員など。

C.第3号被保険者
第2号被保険者が扶養する配偶者で20歳以上60歳未満の者。
強制加入被保険者のほか、海外在住者など一定の者は、申し出により任意加入被保険者となることができる。

⑶給付
国民年金の主な給付の概要は以下の通りである。

a.老齢基礎年金
65歳に達した時に支給が開始される。
なお、受給資格期間(保険料納付期間、保険料免除期間等)が、通算10年以上あることが必要である。
金額は保険料納付済期間、保険料免除期間の月数等によって決定される。
なお、付加保険料を納付した者には、年額で「200円×付加保険料納付月数」の付加年金が支給される。

b.障害基礎年金
初診日に国民年金の被保険者であった者等が、障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)に一定程度の障害の状態(1級~2級)にあたる場合に支給される。
保険料納付に関して要件がある。給付額は、級ごとに定額で決まっており、一級の障害の場合は、2級の1.25倍が支給される。

c.遺族基礎年金
国民年金の被保険者や老齢基礎年金の受給券者等が死亡した時、そのものが生計を維持していた子のある配偶者又は子(18歳到達年度の末日(3月31日)を経過してないことなど)に支給されるが、保険料納付に関して要件がある。
配偶者は、一定の収入要件を満たし、原則として子と同居していることが必要である。

⑷保険料
第1号被保険者の保険料は、所得にかかわらず一定である。第2号被保険者、第3号被保険者は、個別に国民年金保険料を負担する必要は無い。
なお、第1号保険者の保険料は、まとめて納付すると一定の割引がある。
第1号被保険者および任意加入被保険者は、月額400円の付加保険料納付することができる。

所得が少ないなど、保険料を納めることが困難な場合には、免除や納付猶予制度があるが、いずれも届け出は申請が必要である。
免除や納付猶予になった期間は、年金の受給資格期間には算入をされるが、年金額計算には完全には反映されない。(例えば全額免除期間は、2分の1として反映され、納付猶予期間は反映されない)。

保険料を未納のままにしておくと、障害や死亡といった不慮の事態が発生したときに、年金が受けられない場合がある。
失業した時などに納付が困難であれば、免除手続きをとり、未納状態にしない事は大変重要である。

2.制度別被保険者と財源負担/制度別給付の概要
厚生年金保険

⑴制度
会社員等が加入する制度である。
厚生年金保険の被保険者は、同時に国民年金にも加入することとされ、厚生年金保険は給付の2階部分(1階は全国民共通の基礎年金)を担っている。2015(平成27)年10月の被保険者年金制度の一元化により、公務員なども厚生年金保険に加入することになった。

⑵被保険者
適用事業所に使用される70歳未満の者は、適用除外の者を除き、被保険者となる。

⑶時間労働者への適用
労働時間労働日数の両方が、一般社員の4分の3以上の者は、本人の希望にかかわらず、被保険者として取り扱われる。2016年(平成28年)年10月からは、被保険者501人以上の企業に勤務する短時間労働者で、週の所定労働時間が20時間以上、勤務時間が1年以上見込まれるなどの条件を満たす者にも適用範囲が拡大された。
2017 (平成29)年4月からは、被保険者500人以下の企業も、労使合意に基づき申し出をすることによって同様の短時間労働者が被保険者になることとなった。

⑶給付
厚生年金保険の主な給付の概要は以下の通りである。

a.老齢厚生年金
厚生年金保険の被保険者期間を有しているものが65歳に達したときに支給が開始される。国民年金と同様の受給期間資格が必要である。保険料を納付した期間やその間の給与.賞与の額によって金額が決定される。
1961(昭和36)年4月(女性は1966 (昭和41)年4月) 1日以前に生まれた者などには、60歳代前半から老齢厚生年金が支給される。
老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険に加入中の場合は、給与.賞与の額や年金額に応じて、年金額の1部または全部が支給停止になる場合がある(在職老齢年金)。

b.障害厚生年金・障害手当金
初診日に厚生年金保険の被保険者であった者等が、障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)に一定程度の障害の状態(1級~3級)にある場合に支給される。
保険料納付に関して要件がある。
保険料を納付した期間やその間の給与.賞与の額、障害等級によって金額が決定される。障害等級3級よりやや軽い障害が残った場合には、一時金として障害手当金が支給される。

C.遺族厚生年金
被保険者または被保険者であった者、老齢、厚生年金の受給者などが死亡したときに支給される。保険料納付に関して要件がある。受けられる遺族は、死亡したものが生計を維持していた。配偶者、子、父母、孫または祖父母のうち最優先順位の者で、妻以外の者については、年齢または障害に関する要件がある。
金額は、原則として死亡した者の、老齢厚生年金の4分の3である。

⑷保険料
厚生年金保険料の金額は、標準報酬月額、標準賞与額に保険料率を乗じて決定される。産前産後休業、育児休業中の保険料は労使ともに免除される。

4.医療.介護保険

医療保険

医療保険は、社会に出る前から、私たちの生活の中で、病気や怪我の時に関わってきた身近な保険です。また、医療保険は病気や怪我以外にも私たちの生活を助けてくれる。

1.健康保険

(1)制度
労働者やその被扶養者の業務外の傷病、死亡、出産に関する給付を行う制度である。保険者は、全国健康保険協会と健康保険組合(理容業.美容業を対象とするものとして全日本理美容健康保険組合がある)である。

(2)被保険者
適用事業所に使用される75歳未満の者は、適用除外のものを除き、被保険者となる。
適用事業所、適用除外の者、短時間労働者への適用に関しては、厚生年金保険と同様である。
加えて、国民健康保険組合の加入者も適用除外となる。
 継続して2ヶ月以上被保険者であったものは、退職後一定期間に申し出をすることにより、任意継続被保険者となることができる。
被扶養者
健康保険では、被保険者自身だけでなく、一定の扶養家族(収入要件がある)の業務外の傷病等に関しても給付を行う。非扶養者となるものは、①被保険者の直系尊属、配偶者、木、孫、兄弟姉妹、②被保険者の3親等以内の親族での①に該当しない者などである。いずれも被保険者が主として生計を維持している必要があり、②の場合はそれに加えて、同一世帯に属していることが必要である。

(3)給付
健康保険の概要は、以下の通りである。

a.療養の給付(被保険者、被扶養者)
健康保険の被保険者及び被扶養者が、業務以外の事由により、病気や怪我をしたときは、医療機関に被保険者証を提示することにより、1部負担金のみで治療を受けることができる。1部負担金はかかった医療費の3割である。(70歳以上の者及び小学校入学前の被扶養者を除く)

b.医療費(被保険者、被扶養者)
手続き中で、被保険者が巫女付の場合やコルセットなどを作った場合、海外旅行中の場合など、療養の給付を受けられない場合は、一旦医療費を全額被保険者が負担し、後で請求して療養費として還付を受けることができる。

C.高額医療費(被保険者、被扶養者)
同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(標準報酬、月額に応じた自己負担限度額)を超えた分が、後で払い戻される。医療費が高額になることが事前にわかっている場合には「限度額適用認定証」の交付を受けておき、それを提示すれば、一時的とは言え、高額の医療費負担を避けることができる。

d.失業手当金(被保険者)
業務外の傷病による療養のために、仕事を休み、給料受けられないときの生活保障である。連続して3日間(待機)の後、4日目以降の休んだ日について支給される。金額は、1日あたり「支給開始日以前の継続した12か月の標準報酬月額の平均額÷ 30 × 3分の2」である。
 支給される期間は、同一傷病に対し、支給開始日から1年6ヶ月である。途中、出勤した期間があっても延長されない。

e.出産育児一時金(被保険者、被扶養者)
出産した場合、1児につき原則として42万円が支給される。保険料が医療機関に対し、直接払い制度を利用すれば、事前に高額の出産費用にを準備する必要がなくなる。

f.出産手当金(被保険者)
出産のため会社を休み、その間に、給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後の時は出産予定日)、 以前42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産の翌日以降56日までの範囲内で、会社を休んだ期間について支給される。1日あたりの金額は疾傷病手当金と同様である。

g.埋葬料、埋葬費
被保険者が業務外の事由により死亡した場合、死亡した者により生計を維持され、埋葬を行うものに埋葬料として5万円が支給される。埋葬料を受けられものがいない場合は、実際に埋葬行ったものに、5万円の範囲内で、実際に埋葬に要した費用が埋葬費として支給される。
被扶養者がなくなった時は、被保険者に家族埋葬料として5万円が支給される。

(4)保険料
健康保険料の金額は、標準報酬月額、標準賞与額に保険料率を乗じて決定される。保険料率は、全国健康保険協会の場合、都道府県ごとに異なる。健康保険組合の場合は、各組合独自に健康保険率、介護保険料両立が決定される。産前産後休暇業、育児休業中の保険料は労使ともに免除される。

2.国民健康保険

(1)制度
健康保険等の被保険者保険に加入してないものを対象とする医療保険制度である。保険者には、市町村、特別区と国民健康保険組合の2つがある。市町村等が行う国民健康保険は、公的医療保険制度の「最後の受け皿」となっている。

(2)被保険者
a.市町村等が行う国民健康保険の被保険者
市町村等の区域に住所を有する者のうち、75歳以上の者や他の医療保険制度の被保険者を除くもの。

b.国民健康保険組合が行う国民健康保険の被保険者
組合員及び組合員の世帯に属するもの。なお、国民健康保険には、被保険者被扶養者と言う概念はなく、家族にも保険料が発生する。

(3)給付
国民健康保険の給付は、①法定必須給付、②認定法定任意給付(原則として行わなければならないが、特別の理由があるときは、全部または一部を行わないことができる)、③ 任意給付(行うかどうかは自由)の3つに分けられる。
 国民健康保険の給付は健康保険と共通する点が多い。

◆健康保険との違い

a.高額医療費
自己負担限度額は、所得金額によって定められた額となる。

b.特別医療費
保険料を滞納して被保険者証を返還し、被保険者資格証明書の交付を受けた場合、医療費の全部を一旦負担し、事後に現金給付である特別療養費として支給を受けることになる。

(4)保険料
a.市町村等が行う国民健康保険
国民健康保険料の計算方法は、市区町村によって異なる。一般的には、「均等割」(加入者の人数で決定、40歳以上65歳未満の加入者がいる場合は、介護等を加算)と「所得割」(所得金額で決定)から構成される。

3.介護保険

(1)制度
高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など、介護ニーズが増大する一方、核家族化の進行、介護する家族の高齢化等、要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況も変化してきたことを背景に、2000 (平成12)年4月から、介護を使用する高齢者を国民全体で支えるための仕組み国として実施された制度である。

(2)被保険者
次のいずれかに該当するもの、市町村又は特別区(以下「市町村」)が行う介護保険の被保険者とする。

a.第1号被保険者
市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者。

b.第2号被保険者
市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者。

(3)給付
給付には、介護給付、予防給付、市町村特別給付の3つがある。

(4)保険料
a.第1号被保険者に関わる保険料
条例で定めるところにより算定された保険料率により算定された保険料額が課される。

b.第2号被保険者に関わる保険料
各医療保険者が医療保険料の一部として還付.徴収する。

社会保険制度の種類

 保健の種類保険者被保険者給付対象窓口
医療健康保険全国保健協会、健康保険組合会社員など業務災害以外の病気やケガ、出産、死亡年金事務所、全国健康保険協会、健康保険組合
 国民健康保険都道府県、市町村、国民健康保険組合健康保険、共済組合、船員保険加入勤労者以外の一般住民病気、ケガ、出産、死亡市町村役場、国民健康保険組合
 後期高齢者医療制度都道府県単位の広域連合75歳以上の後期高齢者病気、ケガ、死亡市町村役場
介護介護保険市町村40歳以上のすべての住民要介護状態、要支援状態にある人市町村役場
労働労働者災害補償保健政府(厚生労働省)原則として適用事業で働くすべての労働者業務上、通勤途上の病気ケガ、休業、障害、死亡など 労働基準監督署
 雇用保険政府(厚生労働省)適用事業の労働者失業、高齢者の再雇用、育児、介護休暇など ハローワーク
公的年金国民年金政府(厚生労働大臣)自営業、会社員等の配偶者老齢、障害、死亡市町村役場
日本年金機構・年金事務所
 厚生年金保険政府(厚生労働大臣)会社員、国家、地方公務員、私立学校教務員老齢、障害、死亡日本年金機構・年金事務所
各共済組合

5.労働関係法規

1.労働基準法

適正な労使関係の構築

法律に従い適正な労使関係を構築するための取り組みを進める事が求められている。就業規則の制定、届出、雇用契約書の締結など、定められた手続きにしたがって必要書類を制作する事の他、労働時間や休暇の管理、健康保険・厚生年金保険や雇用保険、労災などの管理や手続きなどを行い、スタッフに認められた権利が確実に守られるようにしていくことが求められる。
これらが労務管理の最も基本的な役割ということができる。

◆労働時間の制限
原則として、1週間40時間(9人までの理容業・美容業は44時間)、1日8時間を超えて労働させることはできない。この時間を超えて労働させたときは割増賃金(残業代)を支払わなくてはいけない。
◆解雇
使用者が従業員を解雇する場合、社会常識からみて納得できる合理的な理容が必要である。そして合理的な理由があっても30日前に予告するが30日分の平均賃金を支払わなければならない。
◆育児・介護休業
育児休業・介護休業は男性も取得できる。
◆雇用契約の締結時、労働女権の書面での明示が必要
①契約期間はいつまでか(雇用契約の期間の有無)
②どこでどんな仕事をするのか?
③仕事の時間や休みはどうなっているのか?
④給与はどのように支払われるのか?
⑤辞めるときのきまり

休暇
有給休暇は働くものの権利よして認められている。

年次有給休暇

勤続年数付与日数
6か月10日
1.5年11日
2.5年12日
3.5年14日
4.5年16日
5.5年18日
6.5年以上20日

2.労働安全衛生法

働く人たちの安全と衛生を定めている法律。
経営者の義務として、「労働者の健康管理等」を行わなければならないことを定めている。

健康管理

①経営者が従業員が健康で働ける様に取り組むこと
②従業員がみずから健康でいられるように努める事

◆職業疾病
働くことにより何らかの健康障害が発生すること。
◆健康診断
従業員の健康管理の基本。
◆全日本理美容健康保険組合
理容業・美容業では2007(平成19)年4月に全日本理美容健康保険組合という組織ができた。この健康保険組合に加入している人は、各種健康診断や特定健康診断を受けることができる。

3.雇用保険法

(1)制度
労働者が失業し、賃金が受けられなくなった場合に一定期間所得補償を行う制度として開始された失業制度は、現在「雇用保険」と名称を変え、教育訓練を受けた場合、求職活動をする場合の他工程・育児・介護といった雇用の継続が困難になりやすい場合にも給付を行う制度となっている。

(2)被保険者
適用事業に雇用されるもので週の所定労働時間が20時間い所、継続して31日以上雇用見込み身があるものは被保険者になる。
個人事業主や法人役員、事業主と同居の親族等は原則として被保険者にならない。
なお、提供事業は原則として労働者が1人でも雇用されれば該当する。
(3)給付
a.基本手当
被保険者が失業(離職し、労働の医師及び能力があるにもかかわらず就業につく事が出来ない状態)した場合に、原則として李勝首以前2年ぁんに被保険者期間が通算12か月以上であったとき、所定の手続きを行うことにより失業の認定を受けた日について支給される。
自己都合代謝の場合は手続き後3か月の給付制限期間ののちに支給開始される。

原則として離職日後1年以内に受給を終える必要がある。
基本手当の日額は、賃金日額(下記参照)に給付率(年齢と賃金日額により決定)を乗じて決定される。
【基本手当を受ける事が出来る日数】
①特定受給資格者(解雇により離職した者)か否か
②離職日における年齢
③算定対象期間(原則として雇用保険の加入期間。前職の期間を通算できる場合もある)
◆賃金日額
離職直前の6か月間に支払われた賃金の合計金額を180で割った金額。

b.高年齢求職者給付金
65歳に達した日以降に離職した者が離職日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上であったとき、所定の手続きをおこなうことにより支給される。一時金としてしきゅうされ、金額は基本手当と同様の方法で計算された日額の50日分(算定対象期間が1年未満の場合は30日)である。

c.一般教育訓練給付金
支給要件期間(原則として雇用保険の加入期間)が3年以上ある被保険者(又は、被保険者でなくなった日から1年以内の者)が一定の教育訓練を受けた場合、原則として受講費用の20%が支給される。
高年齢雇用継続給付
雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75%未満低下した状態で働いている場合に支給される。賃金が60歳時点の沈金61%いかに低下した場合は支払われた賃金の!%%相当額が支給される。

d.育児給付金
育児休業開始前2年間に、原則として雇用保険の加入期間が12か月以上あれば支給される。休業中、賃金が全く支払われない場合の支給額は,1か月あたり原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となる。

e.介護休業給付
介護休業開始前の2年間に、原則として、雇用保険の加入期間が12か月以上あれば支給される。休業中、賃金がまったく支払われていない場合の支給額は1か月あたり、原則として休業開始賃金日額×支給日数の67%相当額となる。

(保険料)
給与や賞与の金額に保険料率を乗じて算出される。

4.労働者災害補償保険法

(1)制度
本来事業主が行うべき災害補償を、事業主が保険料を負担することにより政府が保険給付を行う制度として発足した。
労働者の業務災害、または通勤災害について、必要な保険給付を行う制度である。

(2)被保険者
労働災害補償保険(労災保険)には、被保険者の概念はない。適用事業に使用される労働者は国政きや身分、年齢などにかかわらず適用労働者となる。
法人の役員や個人事業主などには適用されないが中小事業主など労働者に準じて保護を行うことが適当とされている一定の者には、特別加入制度がある。

(3)給付
労災保険の主な保険給付は以下のとおりである。
業務災害に該当するには「業務遂行性」(事業主の支配下にある状態)、「業務起因性」(業務と傷病との間に相当因果関係がある)が必要とされる。
通勤災害に該当するには通勤と傷病等に因果関係がある(通勤に通常伴う危険が具体化した)ことが必要とされる。
給付名称に「補償」が入るものが業務災害に対する給付、入らないものが「通勤災害」に対する給付である。

  1. 療養(補償)給付
    労災指定病院などで診察や治療などを受ける場合は現物給付として支給され、それ以外の医療機関などの場合は、いったん労働者が負担をし、現金給付として受けることになる。
  2. 休業(補償)給付
    業務や通勤が原因となった傷病による療養のため労働できず賃金を受けられない時4日目から支給される所得保障である。賃金をまったく受けない日の場合、旧不起訴日数(平均賃金)の60%(特別支給金として20%加算し、合計80%)が支給される。
  3. 障害(補償)給付
    業務や通勤が原因となった傷病が治ったとき、一定障害が残った場合に支給される。障害等級1級から7級に該当するときは年金として、8級から14級に該当するときは一時金として支給される。
  4. 遺族(補償)給付
    業務や通勤が原因で死亡した労働者の遺族に対して支給される。死亡当時生計を維持していら配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹のうち最優先順位の者に支給される。妻以外の遺族には年齢又は障害に関する要件がある。
    遺族数等に応じて、遺族(補償)年金、遺族特別一時金、遺族特別年金として支給される。

5.保険料
保険料は、全額事業主負担で、金額は給与や賞与の額に労災保険率を乗じて算出される。
特別加入者の場合は、給付基礎日額(3,500円から25,000円の間で申請に基づき都道府県労働局長が決定)×365(粘土を通じて加入している場合)×労災保険率で年額が算出される。

※労災保険料
事業の種類ごとにさだめられており、理容業・美容業は「その他の各種事業」に該当し2018(平成30)年度においては、0.3%である。

マイナンバー制度

日本に住民票を有する全ての者(外国人を含む)がもつ12ケタの番号である。

  1. 使用目的
    社会保障、税、災害対策の3分野で複数の機関に存在する個人情報が同一人物であることを確認するために活用される。
    市区町村役場やハローワーク、年金事務所棟の機関では、住民票コード、雇用保険被保険者番号、基礎年金番号などそれぞれの番号で個人の情報を管理しているため、期間をまたいだ情報のやり取りで時間と労力を費やしていた。
    社会保障、税、災害の3分野について、共通の番号を導入することで個人の特定を確実・迅速に行うことができるようになる行政の効率化、国民の利便性の向上、さらに公平、公正な社会の実現を目指している。
  2. 個人情報の管理
    法令で定められた目的以外に毎なっばーを利用することはできない。他人のマイナンバーを不正に入手したり、マイナンバーや個人の秘密が記載された個人情報ファイルを他人に不正にていきょうしたりすると厳しい罰則が課されることになっておる。
  3. 個人情報漏洩やなりすましを防ぐため、法律に規定があるものを除いてマイナンバーを含む個人情報を収集したり,保管したりすることは禁止され、またマイナンバーを提供する際にはマイナンバーの確認と身元の確認が義務づけられている。
問題と解説

生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
第45回出題
(1) 美容業については、1つの都道府県に複数の生活衛生同業組合を設立することができる。
(2) 生活衛生同業組合は、施術料金を統一するための標準営業約款を定めることができる。
(3) 生活衛生同業組合は、組合員に対する設備改善の資金のあっせんを行うことができる。
(4) 生活衛生同業組合は、営利を目的として設立された組織である。

正解(3)
生活衛生同業組合は各都道府県に1個設立することができる。
標準営業約款はサービスや技術内容などを明示して利用者の利便性を図るためのものである。
生活衛生同業組合は、営利を目的としてはならない。

労働安全術生法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
第45回出題
(1) 小規模な事業者には、労働者に対する医師による健康診断の実施は義務付けられていない。
(2) 事業者には、特定の伝染性の疾病にかかった者の就業を禁止することが義務付けられている。
(3) 事業者には、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理する努力が求められている。
(4) 事業者には、労働者に対する健康教育、健康相談など健康の保持増進のための措置を実施する努力が求められている。

正解(1)
小規模な事業者にも健康診断の実施が義務付けられている。

会計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
第46回出題
(1) 損益計算書では、一定の期間における利益や費用がどのような状況になっているのかを把握することができる。
(2) 損益計算書において、利益は「利益=収益(売上)一費用(コスト)」により求められる。
(3) 貸借対照表では、一時点においてどれだけの資産があるのか、借金はどれだけあるのかなどの状況を把握することができる。
(4) 貸借対照表において、1年以内に返済しなければならない借金は固定負債に分類される。

正解(4)
すぐ(1年以内)に返済しなければならない借金は、「流動負債」に分類される。

医療保険制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
第46回出題
(1) 国民健康保険の保険者は、国民健康保険組合と全国健康保険協会である。
(2) 国民健康保険の保険料は、保険者にかかわらず全国一律である。(3) 健康保険の保険料には、保険者負担はない。
(4) 健康保険においては、育児休業中の保険料が免除される制度がある。

正解 (4)
国民健康保険の保険者は、国民健康保険組合と都道府県及び市町村区である。なお、都道府県は2018(平成30)年4月から国民健康保険制度をとになった。また、国民健康保険の保険料は市町村により異なる。健康保険の被保険者も保険料の負担はある。

労働保険に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
第46回出題
(1) 雇用保険の保険料には、袚保険者負担と事業主負担がある。
(2) 雇用保険の基本手当は、自己都合で退職し失業した場合には支給されない。
(3) 労働者災害補償保険の適用事業に雇用される者は、国籍や身分、年齢などにかかわらず適用労働者となる。
(4) 労働者災害補償保険は、通勤途上の事故に対しても適用されることがある。

正解(2)
雇用保険の基本手当は、2020(令和2)年10月より、自己都合で退職した場合でも2か月の給付制限期間の後支給される。

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